バイナリーオプション被害の実態

実際に起きたトラブルの事例と、事前に確認しておきたいポイントをまとめます。

バイナリーオプション被害事例 第2話|見積書の余白に残った数字

バイナリーオプション被害の実態 今回取り上げるのは、愛知県豊橋市で暮らす52歳の給食センター調理補助、宮崎智子さん(仮名)のケース ― 人物と状況を再構成した創作事例。 2026.07.17 630

今回取り上げるのは、愛知県豊橋市で暮らす52歳の給食センター調理補助、宮崎智子さん(仮名)のケースです。

バイナリーオプションを始めた彼女が、口座残高と「出金できる金額」の違いに気づいたところから、思いがけない問題に直面していきます。

「誰でも、思いがけない出来事は起こります」― バイナリーオプション被害事例 第2話の導入バナー
※本記事は、寄せられた情報や公開事例で確認される被害類型を参考に、人物・状況を再構成した創作事例です。特定の個人・事業者を指すものではありません。
食卓で家族と書類を確かめる様子(創作事例のイメージ)

車検の見積書の余白に、

金額とは関係のない数字が並んでいた。

「36万8,000」「残り26万4,000」「あと19万6,000」

名古屋から実家に帰ってきた娘の紗季が、その紙を見つけたのは土曜日の午後だった。

「お母さん、これ何の計算?」

智子はすぐには答えなかった。

職場の厨房で働く姿(創作事例のイメージ)

愛知県豊橋市。

智子は市内の給食センターで調理補助として働いている。

朝6時半すぎに家を出て、昼すぎまで働く。

帰りにスーパーへ寄り、夕方には夫と二人分の夕食を作る。名古屋で働く紗季が月に一度ほど帰ってくると、駅まで車で迎えに行くのも智子の役目だった。

バイナリーオプションを知ったのは、職場の休憩時間だった。

同僚が「少額で仕組みを勉強している」と話していた。大きく稼いだという話でも、誰かに勧められたわけでもない。

その日の夜、智子は自分でいくつかのサイトを読み、B社の口座を開設した。

最初に入金したのは12万円だった。

「なくなっても生活に響かない範囲でやるから」

夫にはそう話した。

実際、最初の取引額は1回1,000円から2,000円ほどだった。

勝った日もあれば負けた日もある。

夜遅くまで続けることはなく、寝る前には画面を閉じた。

夜、ノートパソコンの前で電話をする様子(創作事例のイメージ)

口座を開設したとき、B社では「初回入金ボーナス」が表示されていた。

12万円を入金すると、画面上の残高にはボーナス分が加わった。

智子は、それを取引に使える一時的な特典だと受け止めていた。

ボーナスを利用した場合、

出金に一定の条件があること自体は案内ページに記載されていた。

ただ、必要な取引量の計算方法や、

途中でボーナスを取り消した場合にどの金額がどう扱われるのかは、

智子には分かりにくかった。

それでも、しばらくは問題を感じなかった。

二か月ほど経った頃、口座残高は17万円台になっていた。

ちょうどその頃、車検の見積書が届いた。

費用は10万円を少し超える。

智子は画面に表示されている残高を見ながら、

「ちょうどいいから、10万円だけ戻しておこう」

と思った。

ところが、出金画面に表示された数字は違っていた。

出金可能額 3万6,400円

残高は17万円以上ある。

見間違いかと思い、一度画面を閉じた。

もう一度ログインしても、数字は変わらなかった。

画面の見積書を確かめる様子(創作事例のイメージ)

翌日、智子はB社のサポートに問い合わせた。

返ってきた説明では、ボーナスが付与された口座には所定の取引量条件があり、条件を満たす前は出金可能額が制限される場合があるという。

ボーナスそのものを取り消す方法もあった。

ただし、すでにボーナスを利用して取引している場合、ボーナスに関連する利益の一部が調整対象になる可能性があるとも書かれていた。

智子はもう一度問い合わせた。

「では、あといくら取引すれば条件を満たすのでしょうか」

次の返信には計算式が記載されていた。

ただ、自分の口座で現在どこまで条件を満たしていて、残りがいくらなのかという具体的な数字までは示されていなかった。

智子は電卓を出した。

何度か計算したあと、

手元にあった車検の見積書の余白に数字を書いた。

36万8,000円。

電卓を手にメモを取り直す様子(創作事例のイメージ)

自分の計算が合っていれば、それくらいの取引量をこなす必要があるように見えた。

そこから、智子の取引は少しずつ変わっていった。

以前なら値動きを見て、

「今日はやめておこう」

と思えば、それで終わりだった。

ところが今は、

勝つこととは別に「残りの取引量を減らしたい」という理由ができていた。

帰宅して夕食の下ごしらえをしてから数回。

洗濯機を回している間に数回。

寝る前に、もう数回。

取引するたび、見積書の余白に残りの数字を書いた。

36万8,000。

26万4,000。

19万6,000。

数字は減っていた。

しかし、口座残高も減っていた。

そんな頃に紗季が実家へ帰ってきた。

食卓の端に置かれていた見積書を見つけ、

「これ、何の計算?」

と聞いた。

智子は最初、

「取引の条件」

とだけ答えた。

紗季がもう少し詳しく聞くと、

智子は出金可能額のこと、ボーナスのこと、取引量のことを順番に説明した。

話している途中で、自分でも説明が妙に聞こえたという。

紗季はしばらく見積書を眺めていた。

「お母さん、増やすためにやってたんじゃないの?」

「うん」

「今は、出すために続けてるの?」

智子は答えなかった。

自分がいつからそうなったのか、すぐには思い出せなかった。

翌週、智子は取引を止めた。

そのうえでB社に改めて連絡し、

ボーナスを取り消した場合、自分の入金分と現在の残高がどう処理されるのかを具体的に確認した。

数回のやり取りのあと、ボーナス分と一部の利益が口座から調整され、出金可能額が再計算された。

最終的に智子が引き出せたのは、8万7,000円余りだった。

最初に入れた12万円には届かなかった。

B社の案内から、ボーナスに条件があること自体を確認することはできた。

一方で、画面上で一つの「残高」として見えている金額のうち、

実際にいくらを出金できるのか。

現在どこまで条件を達成しているのか。

途中でボーナスを外した場合、何が残り、何が調整されるのか。

智子にとって、それらは実際に出金しようとするまで実感しにくい情報だった。

相談窓口の待合で書類を見返す様子(創作事例のイメージ)

車検の日。

整備工場の待合室で、智子はバッグから見積書を取り出した。

余白にはまだ「36万8,000」「26万4,000」「19万6,000」という数字が残っていた。

受付から名前を呼ばれる。

智子は紙を二つに折った。

捨てることはせず、

そのままバッグの内ポケットにしまった。

数字を消すこともしなかった。

編集部から

同じような話を何度目にしても、利用条件を確認する意味が薄れるわけではありません。

今回のケースで特に確認しておきたいのは、画面に表示される口座残高と、実際に出金できる金額が必ずしも同じとは限らないという点です。

ボーナスやキャンペーンを利用する場合は、付与される金額だけでなく、次の点まで利用前に確認することが重要です。

  • ボーナスは自動的に適用されるのか、自分で選択するのか
  • 出金までに必要な取引量や、その計算方法はどうなっているのか
  • 現在の条件達成状況を利用者自身が確認できるのか
  • ボーナスを途中で取り消した場合、元本・利益・ボーナスがそれぞれどう扱われるのか

条件そのものが記載されていても、実際の口座画面や出金手続きと結びつけて理解しにくい場合があります。

「いくら残っているか」だけでなく、「今いくら出金できるのか」まで確認することが大切です。

経験を伝えることが次の一歩につながるように ― 編集部からのメッセージバナー

出金の遅延・拒否、説明されていない条件変更、ボーナスやキャンペーンに伴う出金制限、不自然な追加入金の案内など、利用過程で不安や不利益につながる経験がありましたら、タイアンブリッジ編集部まで情報をお寄せください。

情報提供:[email protected]

本記事は、特定の事業者やバイナリーオプション取引への参加を推奨・勧誘することを目的としたものではありません。利用を検討する際は、取引内容・利用規約・入出金条件などをご自身で確認してください。

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