バイナリーオプション被害事例 第13話|以前の番号に送信しました

バイナリーオプション被害の実態 今回取り上げるのは、埼玉県川越市の配送会社で配車を担当する田中亮さん(仮名・29歳)のケース ― 人物と状況を再構成した創作事例。 2026.10.02 33

「認証コードは、登録されている携帯電話番号に送信しました」

田中亮さん(仮名・29歳)は、その文章を三度読み返した。

登録されている番号。

その番号は、もう使っていなかった。

正確には、3か月前に解約していた。

いま手にしているスマートフォンには、新しい番号が入っている。

しかしA社の口座では、以前の電話番号がまだ「本人」を証明する情報として残っていた。

「誰でも、思いがけない出来事は起こります」― バイナリーオプション被害事例 第13話の導入バナー
※本記事は、寄せられた情報や公開事例で確認されるトラブルの傾向を参考に、人物・状況を再構成した創作事例です。特定の個人や事業者を示すものではありません。

亮さんは埼玉県川越市に住み、市内の配送会社で配車を担当している。

自分でトラックを運転することはほとんどない。

どの車両をどの地域へ向かわせるか、どの荷物を誰に任せるか。道路状況を見ながら予定を組み直すのが仕事だ。

配送会社の事務所で、配車の電話を受けながら予定表に書き込む様子(創作事例のイメージ)

机には会社の電話と自分のスマートフォンがある。

番号を確認して電話をかけることは、毎日の一部だった。

バイナリーオプションを始めたのは約8か月前。

休憩中に経済関連の動画を見たことから為替に興味を持ち、いくつかのサービスを比較したあとA社に12万円を入金した。

頻繁に取引していたわけではない。

仕事が終わったあとや休日に少し利用する程度だった。

数か月後、口座残高は約18万円になっていた。

しばらく取引する予定もなかったため、亮さんは17万円を出金することにした。

問題の発端は、出金を申請するその3か月前にあった。

夕方の自宅で、新しいスマートフォンの初期設定を進める様子(創作事例のイメージ)

長く使っていた携帯電話の契約を見直し、通信会社を変更した。

迷惑電話も増えていたため、電話番号も新しくした。

銀行。

クレジットカード。

会社の緊急連絡先。

思いつくものは順番に変更した。

A社だけが抜けていた。

当時はほとんど取引しておらず、ログインもメールアドレスとパスワードでできたため、気づかなかった。

出金を申請するまでは。

出金手続き中、以前の番号に送られた認証コードの入力画面を前に考え込む様子(創作事例のイメージ)

17万円の出金手続きを進めると、登録済みの携帯電話へ送られた認証コードを入力する画面が表示された。

しかし、その番号はすでに解約済みだった。

亮さんはサポートへ連絡した。

「登録している電話番号は現在使っていません。新しい番号に変更するには、どうすればいいでしょうか」

翌日、返信があった。

本人確認書類と、現在の電話番号を確認できる資料を提出してほしいという。

運転免許証を撮影し、新しい通信会社の契約情報も提出した。

これで終わると思った。

2日後、もう一通メールが届いた。

本人確認書類には問題がない。

ただし、以前登録していた番号が本人のものであったことを確認できる資料も必要だという。

すでに解約した番号だった。

通信会社に問い合わせると、過去の契約情報を記載した書類を発行できると言われた。

運転免許証と通信会社の書類を並べ、提出資料を確かめる様子(創作事例のイメージ)

亮さんは手続きをし、数日後に届いた書類をA社へ送った。

今度こそ終わると思った。

しかし、返ってきたのはこういう文章だった。

「電話番号変更の申請を担当部署へ引き継ぎました」

本人確認が終わったのではない。

電話番号を変更する手続きが、ようやく始まったということだった。

会社の配車では、問題が起きても次に誰が動くのか分かる。

配送が遅れていればドライバーに確認する。

その車両が動けなければ、別の車両を手配する。

流れが見える。

A社とのやり取りでは、それが見えなかった。

本人確認。

登録情報変更。

出金審査。

亮さんにとっては「17万円を出金する」という一つの手続きだったが、返信のたびに別の処理が現れた。

電話番号の変更申請から3日後、新しい番号を確認するための認証が必要だという案内が届いた。

今度は新しいスマートフォンに認証コードが届いた。

すぐに入力した。

事務所のノートパソコンで、出金状況が変わらない画面を見つめる様子(創作事例のイメージ)

それでも出金画面は「審査中」のままだった。

「電話番号の変更は完了したのではないでしょうか」

そう問い合わせると、翌日返信があった。

「登録情報変更後のため、アカウントの本人確認状態を再確認しております」

番号を変更するために本人確認をした。

番号を変更したあと、もう一度本人確認をする。

亮さんにはそう見えた。

昼休み、同じ事務所で働く後輩が聞いた。

「それ、まだ終わってないんですか?」

数日前にも亮さんが同じ画面を見ていたからだ。

「電話番号を一つ変えるだけなんだけどな」

亮さんは言った。

「前の番号が自分のものだったことを証明して、今の番号も自分のものだって証明した」

後輩は首をかしげた。

「じゃあ、終わりじゃないんですか?」

「俺もそう思った」

二人はそのまま弁当を食べた。

亮さんが不満に感じていたのは、確認を求められたことそのものではなかった。

電話番号が変われば、不正利用を防ぐために本人確認が必要になる。

その理由は理解できた。

ただ、どこまで終われば出金が再開するのかが分からなかった。

一つ終えるたびに、次の手続きが現れた。

最初の出金申請から16日目。

出勤前にメールを確認すると、アカウントの再確認が完了し、出金処理を再開するという連絡が届いていた。

その日に入金されたわけではない。

自宅でスマートフォンを手に、入金を確かめる様子(創作事例のイメージ)

銀行口座に17万円が入ったのは、その3日後だった。

最初の申請から19日。

金銭的な損失はなかった。

追加料金を支払ったわけでもない。

それでも亮さんは、その後ほとんどA社を利用しなくなった。

「悪い会社だった」と決めつけたわけではない。

ただ、もう一度同じ手続きをする気にはなれなかった。

数日後、会社で一人のドライバーが言った。

「携帯番号が変わったので、連絡先の変更をお願いします」

亮さんは配車システムを開き、新しい番号を入力した。

保存したあとも、すぐには画面を閉じなかった。

以前の番号が残っていないか検索した。

それから新しい番号へ電話をかけた。

事務所の向こう側で、ドライバーのスマートフォンが鳴った。

「大丈夫です」

亮さんはそう言って電話を切った。

今度は、一度で本人につながった。

編集部から

電話番号、住所、氏名、決済情報などの登録内容を変更した際、不正利用防止のため追加の本人確認が行われるサービスがあります。

本人確認そのものが問題というわけではありません。

今回確認したいのは、登録情報の変更と出金審査がどの順番で進むのか、情報変更が完了したあとに再度審査が必要なのかを、利用者が事前に把握しにくい場合があることです。

携帯電話番号を変更する際は、次の点を確認しておくと安心です。

  • 登録電話番号を自分で変更できるか
  • 旧番号が使えない場合に必要な書類
  • 解約済みの旧番号について契約者確認が必要か
  • 情報変更中に出金などの機能が制限されるか
  • 番号変更後に本人確認が再度必要になるか
  • 手続き全体のおおよその所要期間を確認できるか

必要な書類をすべて提出していても、確認業務が複数の部署に分かれている場合、想定以上に時間がかかることがあります。

似た話を何度も目にすると慣れてしまうかもしれません。それでも、出金条件や本人確認の手続きなど、資金の利用に直接関わる事項は繰り返し確認する価値があります。

経験を伝えることが次の一歩につながるように ― 編集部からのメッセージバナー

出金の遅延・拒否、説明されていない条件変更、追加認証や追加入金の案内など、利用中に不安や不利益を感じた経験がある方は、タイアンブリッジ編集部まで情報をお寄せください。

情報提供:[email protected]

本コンテンツは、特定の事業者の利用やバイナリーオプション取引を勧誘・推奨することを目的としたものではありません。

こうした事例の多くは、入金前にしか確認できない条件に行き着きます。業者選びのチェックポイントと出金条件の解説もあわせてご覧ください。

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